女性住職として生きる2025

わたしは、宗教法人 三石不動尊の女性住職です。

2018年3月に高野山大学大学院修士課程を修了、2019年11月に高野山で伝法灌頂を受けて阿闍梨となり、コロナ禍がはじまったころの、2020年2月24日に団体としての設立総会を行って、2020年9月から、高野山真言宗 三石山不動寺の正住職となりました。48歳のときです。このながれについては、2020年3月31日の毎日新聞和歌山版で報道されました。

さらに、活動実績を積み2023年7月に三石山不動寺は、宗教法人 三石不動尊として名を改め、国の機関である法務局に認可となりました。宗派は高野山真言宗です。このときのようすは業界紙「仏教タイムス」(2024年1月1日号)にて報道されました。

女性住職として、ルールにのっとり、ひとつひとつ実績を積み上げてきているのですが、その活動が「無」にされてしまった場面はたびたびあります。

それは、原因としては、社会における、「住職は男性である」という固定観念が作用していることもあり、さらには同業者のなかでの、女性僧侶への差別意識・区別意識が根強く残っていることに根があります。

書類だけではなく、わたしはさまざまな仏教行事や、国際平和活動の分野でも活動を続け、努力を続けてきました。そんな中、ときどきあるひどい仕打ちに耐えきれなくなったときなどに、

女性僧侶に差別があることを近しい男性住職に申し上げたときも「そりゃあるでしょう」とおっしゃるだけでした。

また、お寺にかかわる女性というだけで、男性住職の配偶者や娘さんと、女性住職を同列に考えていくと、焦点がずれてしまい、問題点が霧散してしまいます。両者はやくわりも仕事も違うので、分けて考えることが必要です。

また、データ上、女性僧侶が増えているということで問題をわかりにくくすることもよく見られますが、ここに多くのからくりがあることを付け加えておきます。女性僧侶は僧侶資格を取得したすべての人をさし、女性住職はしごととして、男性住職と同様に法務を行っています。

資格についていうと、体験得度というのもあり、寺院の経済基盤の一助のため、興味のある人を資質など関係なく得度させるということもあります。

宗派によっても資格取得に違いがあり、いちがいに女性僧侶が増えているといっても女性僧侶に仕事の場が開かれているわけではないことに注意が必要でしょう。

そんなわけでなかなか厳しい7年間であったわけですが、同時に、正式な女性住職となったことで、いろんなチャンスに恵まれてここまでやってこれたことは奇跡であり、仏さまのお導きであることがはっきりとわかります。

それでも業界に根強く残る構造を少しずつ改善させてゆくための一石になってゆく時期が来ているのかなと感じて、この短文を書いてみました。公共性が大切にされた場で対等に、互いを尊重した意見交換の場ができることを待ち望んでいます。

わたしは以前はNPO法人の代表理事を務めていたこともあり、社会をよりよくしたいと思い、人生の多くの時間を生きています。