伽羅について

伽羅は香木の王女様です。

香木はすべて女神さまであるというのはわたしがワークショップで

ご説明していることです。

香木はおもに「白檀」「沈香」「伽羅」。

インドでは「伽羅(キャラ)」とは、サンスクリット語で「かおり」という意味を

さすようです。

数ある香木のうち、伽羅というものはその最上位置に位置するもの。

いまは天然の伽羅は、乱獲によりほとんどないとのことです。

では伽羅とはなんでしょう。

湿度のある深い森を好むアガールという木があり、少なくとも400年~500年くらい経ったアガールの古木を

好んでつく虫があります。

アガールの森には霧がたちこめています。

古いアガールについたこの虫が、木を傷つけますと、木は自らを守ろうとして脂を出すようです。

この脂が固まり、さらに化石となったものが「キャラ」なのです。

自分自身がけがをしていると認識して出す「液」なので、それはそれは

強力な浄化力をもちます。

沈香と同類のものとされる説もあり、まったく違うとされることもあるそうですが

「キャラ」はとにかく魔法のような出来方をします。

斃れた木にも発生します。

インドでは、お釈迦さまより古い時代に、火の神様に捧げて願いを叶えてもらおうとしたというおはなしがあります。

火のなかに香木や食べ物を放り込んで願いを託すのです。

わたしたち密教僧が行っている「お護摩」の原形がこれです。

わたしが住職にならないうちから香木にこだわり続けた理由はこういう香木のなりたちによるのでしょう。

とくに伽羅は、寺院や僧侶を強力に護ってくれるものでもあります。

現在、伽羅は「1グラム=8万円」とする説もあり、その希少性は宝石レベルとなっているようです。

また、焚いて香がたちこめるものはあっても、ただそこにあるだけで自然に香りがたちこめる伽羅は、現在ではほとんどないということです。

さわるとビリビリとした波動が伝わってきて、それはいつもわたしが言っているように「香木それ自体が女神さま」というほかありません。

この上質の香に包まれていますと、僧侶の醍醐味を感じます。

また、お護摩祈祷はそれほどの希少性をお供えする神秘の修法なのです。