布はなぜたいせつなのか

香のチャーム袋、布は厳選したい

紀州高野山横笛の会の看板講座「香と瞑想&ヨーガワークショップ」の護符おまもり材料の主役はもちろん「御香」でしょう。7種類の御香は、すべてが女神さまであり、各御香を調合することで、相乗効果が倍増し、一年間もつ人をまもってくれるのです。

横笛の会では創設と同時にこの護符おまもりを頒布し、「よく眠れるようになった」「痛いところにこすりつけると緩和した」「金庫にいれておくとお金が減らない」などなど、さまざまな反響をいただいて5年になります。

横笛の香の護符おまもりのポイントはじつは、もうひとつあります。

それは、調合した御香を入れる「おまもり袋」です。

たとえば野外で行ったワークショップのときにはナチュラルな図柄の袋、

未来がひろがる小学生のおこさまの講座には「真っ白なおまもり袋」

最初の講座のときには、第一回に来てくださったということで

ブラウンの麻袋を特別につくりました。

通常の頒布では、信者さんの症状に合わせて、カラーセラピーで色や適切な梵字を選んで

おつくりするということを行っております。僧侶の知見をいかした頒布品として定着してきたように

感じています。「布は大切なものなので、意味をこめて選ぶ」ということをたいせつにしています。

わかひるめのみこと(稚日女尊)

なぜ布が大切なのか?

ここで、高野山の地主神でもある、にうつひめ神社のご祭神についてお話しましょう。

「にうつひめの大神」「たかのみこの大神」「おおげつひめの大神」「いちきしまひめの大神」

いずれも高野山では「明神さん」と称され「四社明神」と親しまれます。

「にうつひめの大神」は「天照大神」の妹宮とされる「わかひるめのみこと(稚日女尊)」と同体とされる説があります。稚日女尊は、天照大神そのものと比定される説もあります。三重県各地、大阪浪速、兵庫神戸、和歌山に縁があります。

さて、この「わかひるめのみこと(稚日女尊)」の一側面が、機織りの女神さまです。

神の衣を紡いでいらっしゃったときに、暴れ者の神様だった「スサノオノミコト」からいたずら心でしたことがきっかけで、一心に機織りに集中されていたのであろう稚日女尊はたいそう

驚かれ、機から落下してしまい亡くなってしまう、それを悲しんだ天照大神は岩戸のかげにおかくれになったというおはなしが『日本書紀』『古事記』の神話にでてきます。(『古事記』では稚日女尊という名前はでてきません)

稚日女尊は神話の中で、人と人をつないでものごとを発展させる原動力を生み出すさいに、重要な働きをする女神として登場しています。

わたしはここまで書いてなぜか涙をこらえきれない感情が湧き起こってきました。どうしてかわかりません。

稚日女尊のご性格は、「はっきりとご自分の意思を主張される」「集中力が半端ではない」「かわいらしい(お茶目である)」「朱いものがお好き」といったところが浮かんできます。

機織りの女神

高野山の地主神とされるところの女神さまが、機織りの女神であったことをご紹介しました。

自然素材からできた、一本一本の糸をつむぎあわせて織られる一枚の布。

これは芸術品です。香の護符おまもりは、希少な価値のある刻み香という主役を

こちらも女神の布の中にいれて、完成させるのです。

布は糸を紡ぎ合わせたもの。

ものを包んだり、からだを保護したり、敷物になったりもします。

装飾品や豪華なものなどにもなることがあります。

糸は大切。そして布はだいじ。

わたしたちは暮らしのいたるところで布を活用していきています。

横笛の香の護符も、布袋がなければつくることができません。

だから胎蔵大日さまは、香と瞑想&ヨーガワークショップを通してたのしく布教しなさいと

わたしにおっしゃったのですね。

胎蔵大日さまは、神仏習合では、にうつひめの大神と同体と比定されます。

自分自身でも驚くほど、いま、この講座の構造がわかりました。

日本で糸を紡ぐといいますと、たとえば絹糸をつくる養蚕という産業が思い浮かびます。

養蚕はそのものが、長く信仰となってきました。

ひかりのなかで、きらきらと、蚕が繭をはきだす情景は文学作品にもなっています。

長く天皇家でも行われてきた産業で日本らしいものといえるでしょう。

布とはさまざまな歴史と思想、そして文化と哲学が織り込まれていると思いますね。

これからも護符おまもりつくりを通じて、世界のさまざまな布にであいたいと思っています。

※僧侶のぼうしは長方形の布 こちらはちりめん素材(上)

※せんじつ、タイ国を訪れたさい、みつけた布で水がテーマの袋を縫ってみました(下)