宗教法人の設立登記

8月中旬の御施餓鬼法要が終わると、がらりと局面が変わるのは、例年のことなのだけれど、ことしも例外なく、とくに研修生が入った8月末を過ぎると、自分自身の境地が大きく変わりました。

それは、「宗教法人化」という、前住職(老僧)との約束を果たせたから、という外面的なことが一つあるとは思うのですが、精神レベルでいえば、さらにもっと深いところの変化のように感じます。

宗教法人化の流れ

すこし宗教法人化の流れについて書かせてください。

宗教法人化には、決まった場所での「団体」としての3年間の宗教活動実績が大前提として必要です。

令和2年2月から法務を開始しましたので、令和5年1月でまる3年となりました。

そこで、わたしは令和5年になってから、さまざまな法人化への手続きを開始しました。

令和5年1月10日 和歌山県庁との調整(はじめての県庁との打ち合わせでした)

忘れもしません。この日は、お寺に戻って信者さまのご祈祷をしていると、お大師さまが

おいでになられて、一緒に読経をしてくださったのです!

強烈な神秘体験に、お大師さまが喜んでくださっていることがわかり、「なしとげなきゃ」と改めて覚悟をすることができたのでした。

令和5年2月 旧不動寺を宗教法人三石不動尊として法人化するための設立総会を開催しました。

責任役員さん、信徒総代さんが集まってくださり、会議を行いました。

令和5年3月 所轄の高野山真言宗に申請書類を提出しました。

令和5年5月10日 高野山真言宗より法人認可

旧正御影供の正当日に認可されました。

令和5年6月15日 和歌山県庁より法人認可

降誕会の日に認可されました。

令和5年7月26日 和歌山市 法務局に設立登記書類を提出、28日登記成立

成立した28日は、お寺で納涼祈願祭を行った日でした。

令和5年8月 和歌山県より、該当の地がもっぱら宗教活動に供して活用されていることの証明が届く

暑い暑い夏の日に、最終段階の書類への動き、いろいろなことが起こりました。

令和5年9月 土地と建物の寄付受けと法務局への登記

土地と建物を譲り受け、あらたに不動産の戸籍を。

思えば、令和5年は1月から9月の現在まで9カ月間、公の書類と格闘したり、社会的な調整を行ったりしてきたことがわかります。はじめての経験ばかりですので、大変だったのでしょう。

よかったこと

しかしさまざまなところで、いろいろな人から助けられて、走りきることができました。

それがようやく終わりに近づいて、わたしはなんだかこれまで感じてこなかったこころの形を見ています。

祖師の若き日のご修行の地を、正しく現世に輪郭することができて、ほんとうによかった。

92歳の前住職とのお約束を守ることができて、ほんとうによかった。

大きな目標を前に、ただ走り抜けるように法務に集中してきた3年間は、ほんとうによかった。

とくに、7月に法務局での設立登記がおわった瞬間は、

「がんばってきてよかった」という極上のリラクゼーションという風に包まれました。

お大師さまのお仕事ができた!という感覚でした。

お大師さまが頭を撫でてくださっている、そんな印象でした。

これからのこと

これから、あらたな章が始まるのだけれど、

まだ方向性は定まっていません。

でも、近しい方が言ってくださったように、「いまは、わからない、そういう時期」なのだと

思っています。きっとまた、新たな目標がやってきます。

また、別の方が言ってくださるように「すこしゆっくり行って、まわりをよく見て、また走り始めればいい」ということだと思います。

どこか脱力して、ふわふわして、でも信じている。

これからは、局面がかわり、もうひとりの自分の存在とであえることを。

さらに祖師のご加護のもと、みなさまのために、さらにずっと上がった悉地で活動していけることを。

令和5年の法人化のスムーズな動きに、こころより感謝申し上げます。合掌

※写真は令和5年6月のお護摩